◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~




「っ………」


急に不安が襲った。怖くて、体が小刻みに震える。
空を見上げると、明ける事のない夜の空が視界いっぱいに広がった。


暗い………私の知らない空、随分と見ていない太陽。全てが私を孤独に感じさせた。



「誰か……ルーク……」


この世界で、私が唯一知る人。私を守ってくれた人……


私、もっと、ルークに感謝するべきだった。世界の終わりを連れて逃げてくれて、サーカスにだって………



きっと、私が行きたそうにしてたから……。口は悪いけど、優しい人だと私は知ってる。


「どうしようっ………」


涙が滲み、視界がぼやける。うつむいた時、私の目の前で、誰かが立ち止まった。


「ルーク!?」


期待を込めて顔を上げると、そこにはルークではない銀髪の少年が立っていた。


「お、おい??大丈夫か!?泣いてるじゃないか!!」



目が合うと、少年はあたふたと困った顔をする。




あ…れ、この人は…………。どこかで見た、そういえば、さっきのサーカスのナイフ投げの人!!



「こういう時、どうしたら良いんだ!?わ、わっかんねぇーっ!」


一人暴走する少年に、自然と私の方が落ち着いてきた。



慌ただしい人だな………なんというか、私の方があたふたしたいのに。


私は「はぁ…」とため息をついてこぼれそうな涙をぬぐった。