「っ………」
急に不安が襲った。怖くて、体が小刻みに震える。
空を見上げると、明ける事のない夜の空が視界いっぱいに広がった。
暗い………私の知らない空、随分と見ていない太陽。全てが私を孤独に感じさせた。
「誰か……ルーク……」
この世界で、私が唯一知る人。私を守ってくれた人……
私、もっと、ルークに感謝するべきだった。世界の終わりを連れて逃げてくれて、サーカスにだって………
きっと、私が行きたそうにしてたから……。口は悪いけど、優しい人だと私は知ってる。
「どうしようっ………」
涙が滲み、視界がぼやける。うつむいた時、私の目の前で、誰かが立ち止まった。
「ルーク!?」
期待を込めて顔を上げると、そこにはルークではない銀髪の少年が立っていた。
「お、おい??大丈夫か!?泣いてるじゃないか!!」
目が合うと、少年はあたふたと困った顔をする。
あ…れ、この人は…………。どこかで見た、そういえば、さっきのサーカスのナイフ投げの人!!
「こういう時、どうしたら良いんだ!?わ、わっかんねぇーっ!」
一人暴走する少年に、自然と私の方が落ち着いてきた。
慌ただしい人だな………なんというか、私の方があたふたしたいのに。
私は「はぁ…」とため息をついてこぼれそうな涙をぬぐった。


