「綺麗なバラですね」


 山並みさんからもらった折り紙のバラが胸ポケットからのぞいていた。潰してしまうことよりも、なにか山並さんを感じられる物を身に付けておきたかった。


「見せてもらってもいいですか? 」


 差し出された手のひらに乗せると、少しよれていた。


「これは川崎ローズですね」

「そうです。沙那さんは折り紙にも詳しいですね」


 もらったバラがあまりにも綺麗だったので、私もネットで調べてみた際にその名前に出会っていた。数学の博士である、川崎敏和さんの作品だ。

「花と名の付くものなら、みんな気になるものだから。でも他にもわかることありますよ」


 そう言ってにっこり笑った。


「ロマンチストですね、山並さんは」


 誰からもらったか言い当てられてしまって、
顔が熱くなる。