雨上がりの虹のむこうに



「優子さんがぼんやりしてるなんて珍しいですね。もしかして山並さんと関係あったりしますか? 」


 雑巾でテーブルを拭いていた手も止まる。あまりにもはっきり言い当てられてしまって、頬に熱を持っていくのがわかった。


「……そんなに変かしら」

「山並さんが来なくなってから、あきらかに優子さんぼんやりしてます。北のほうを見て考えこんでいたり、ため息をついていたり。でもそんな優子さん、凄く綺麗でうらやましい」


 お世辞にも綺麗とはほど遠い私に、ミオちゃんはそう言ってくれた。


「優子さんと山並さんだったら、美女と野獣だけどすっごくお似合いですよ! なんだか二人が一緒にいるのを見てるだけで幸せになれるんです」


 きゃあきゃあと無邪気にはしゃぐミオちゃんのほうが余程素直で可愛らしい。こんなに素直に自分を出せたなら、恋愛だって上手くいきそうな気がする。

 幼なじみのセレブに初恋してこじらせて、長い間恋より仕事で生きてきた。だからどうやって好きだと伝えたらいいのかもわからない。


「もうどうしたらいいんだろう」