雨上がりの虹のむこうに



 もし初恋は誰だと聞かれたなら、それはきっと隼人さんだった。


 幼なじみの、ずっと一緒だった隼人さんを好きだった。


 でも心のどこかで自分の気持ちにブレーキをかけていて、ずっと私なんてという気持ちと戦っていた。


 隼人さんのまわりにいる、綺麗な人に嫉妬して何にも持たない自分が嫌で、立ち居振る舞いだけは完璧に身につけていた。


 今の私を作ったものは、隼人さんによるものが大きかった。


「今までありがとう…隼人さん」

「建物の登記謄本を優ちゃんに変えておくよ。会社の所有権もね。あの建物はずっと優ちゃんのものだったんだよ」