急に困るとは思うものの、なかなか味わうことのできないお店の味やサービスは勉強になるのでお供させていただく。
オーナーに連れて来られたのは、フランスのオーベルジュのような温かみのあるレストランだった。
都内にあるのに、装飾品ひとつとってもフランスの一流品を使っているので、まるでフランスのお宅にお邪魔したような雰囲気だ。
きょろきょろしてしまう私を温かく見つめながらエスコートしてくれる。
「ここが優ちゃんの仕事にプラスになるなら、恥ずかしいなんて気にしないで見るといいよ」
そう言ってくれるのは、優しい幼なじみの顔でとろけるような笑顔をしている。
それから案内された部屋は個室になっていて、まわりの人を気にせずに食事を楽しめるようになっていた。
アミューズから始まり、高級な食材を惜しげなく使った彩りの美しい皿が続く。産地まで指定されたブランド食材と確かな技術に、内心舌を巻きつつ、美味しくて顔がほころぶ。
食事の内容や、たわいない話題、ちょっと真面目に会社のことなど、隼人さんとの会話は話題がつきずに楽しく時間が過ぎる。
食後のコーヒーになって、真面目な顔をした隼人さんがテーブルに腕を乗せて聞いてきた。
「ねえ優ちゃん、僕は優ちゃんからしたら、どう見えているのかな」



