「……日時までは知りませんでした。マッキンリーに行ってくるとしか……」
「そう。ほんと口下手なんだから…見送りに来てだなんて言えないのよね。洋平くんもそれを心配してて、あたしも一肌脱ごうっていうんで来てみたのよ。まあ予想を裏切らない展開だったわ」
うーんと腕を組んで悩む。
「鉄ちゃんがバカなのは知ってたけど、相当ひどい」
「あの、それで私はどうしたら……」
「鉄ちゃんを支えて欲しいの。あれで結構、繊細なとこがあるのよ」
なんでこの人にこんなことを言われるのだろう。思わずむっとして言い返してしまう。
「ご自分で支えてあげたらいかがですか」
「あんなムサいロマンチストの世話なんてごめんよ。あたしには洋平くんがいるんだから」
「え?」
思わず漏れた声に彼女のほうがびっくりする。
「まさかそのことも知らないの!どれだけ鈍くさい奴なんだろ! あたし木元洋平くんの妻で木元雪と言います。鉄ちゃんと洋平くんとは幼なじみなの。あたしの父親に結婚を反対されてたんだけど、鉄ちゃんだけは応援してくれて、写真も撮ってくれたのよ」



