雨上がりの虹のむこうに




 来週出発します、そう言われていてもキチンとした日付や時間を知らない私はお見送りなんて出来る訳ではなかった。




 だって彼女ではないし。


 あの時、山並さんの名前を呼ぶ彼女の可愛らしい声に、内心ではかなり動揺していた。

 背が高すぎるとか、あんなに可愛らしくないとかよりも、まず性格が可愛くないのかもしれない。





 そう思うと落ち込む。


 

 ブライダルのフロアで印刷物を確認しながら、ぼんやりしてしまう。出席者リストと席次表を確認していると、目の前にお客様がいらした。

「こんにちは。品川さんでしょうか」

 にこりと笑った顔は、この前山並さんの所に訪ねてきた彼女だった。ドキリと大きく胸が打つ。

「先日は急にお邪魔してすみませんでした。今日、仕事終わりにお時間をいただけませんか? ほんの30分くらいで終わりますから」


 どうして、こんなことを言われているのかわからない。山並さんの彼女だとしたら、やっぱり話は山並さんのことだろうし……もしかしたら、私が好きだというのがバレたとか……!