雨上がりの虹のむこうに


「聞いたら、きっと許してもらえないと思ったんです」

「……それはそうですけど」

 俯いて唇を噛む。

 私は、今だに自分に自信なんて持てない。

「この写真の品川さんは、とても素敵に輝いていました。もっと自分に自信を持ってください」

「私、そんなこと言ったことがないのに、山並さんにはわかってしまうんですね」

 大人になるにつれ、自分を上手く見せられるようになったと思っていた。臆病な自分、自信のない自分を隠せるように。

「ずっと品川さんを見てたから」

 アルバムを開く私の手に、山並さんは手を重ねてアルバムを閉じる。温かくて大きな手のひらは、ごつごつとして固いまめが出来ていたけれど優しい触れかただった。

「出発は来週ですけれど、それまで雪山で高山対策をしてます。こちらで受けている仕事は、友人のつてでアルバイトの子に撮影してもらえるように頼んでおきました。そいつの秘蔵っ子なんで腕は確かなはずです」

 


 行かないでと言ってしまいたい。話が終わると離された手が寂しくなる。