雨上がりの虹のむこうに


 式が終わった翌々日に、山並さんは見本のアルバムを携えてきた。いくらネットで注文できるからとはいえ、はやすぎる出来ばえに山並さんの無理を感じた。

 きっと撮った後すぐに編集して、注文をしているのだろう。

 なんで、と思いすぐに山へ行くからだとわかった。

「お客様に見せる前に、品川さんに見て欲しくて」

 はにかむように差し出されたアルバムを受け取って、その場で開く。しっとりとした甘い雰囲気のパールピンクの表紙を開くと、中も甘い雰囲気でふんわりとしたベールを付けた花嫁の伏せられた睫毛が長くて綺麗だった。

 その写真より小さなカットで、教会への扉を前にした後ろ姿の背中も綺麗だった。長いトレーンを引くベールは繊細な刺繍があって物語のお姫様のようだった。


「素敵です。とっても」

 女の子の憧れが全て詰まっているアルバムだった。ポイントごとに、式場の花あしらいだとか、ウエディングケーキ、教会のステンドグラスなどが使われていて小さいカットながら人目を引く。

 ご本人からしたら、こだわったケーキだったのでこうして記録に残っているのは嬉しいはずだ。