雨上がりの虹のむこうに


 どこに、いくつもりなの?

 ウエディングの写真撮影だって山並さんの担当で予定が埋まっているのに、今日だってこれからアルバムの打合せをするつもりだったのに……

 
 山並さんの代わりをどうしたらいいの?

 いつの間にか山並さんは私達のチームの一員で、山並さんがくる前にはどうしていたのかも思い出せなくなっていた。

 この指先が痺れるような感覚を、つい最近も感じていた。

 山並さんの所に彼女が訪ねて来たときだ。




 手を伸ばしても、山並さんに届く訳ではないのに、伸ばして振り払われることを考えてしまう。


 私は彼女でもないのに、仕事の話をするだけなのにどうしても動けなかった。空気が薄く息苦しいようで、息がうまく吸い込めない。

 かさりと背後で音がした。

「品川さん」

 首を傾げた山並さんがそこにいて、不思議そうに私を見ていた。

「あの、どこに行ってしまうのですか…」