雨上がりの虹のむこうに



「ねえ優ちゃん、何かあったの? 」


 ゆらゆら揺れるキャンドルを見つめてぼんやりしている私に、隼人さんが話しかけてきた。

 高層ビルの夜景の綺麗なレストランなのに、景色も見ずにぼんやりしているので気になったようだ。

「なんでもないわよ。ワインが美味しくて酔ったのかしら」

「ずっと優ちゃんを見てきた僕がわからないと思うの? 何か心配ごとがあるみたいだね。僕でよかったら相談にのるよ」

 キャンドルごしの隼人さんは真面目な顔をしている。

「私が真面目でつまらない人間だから、友達や彼氏もできないのかな」

 明るくて楽しい人のもとには、人がたくさん集まるのに、話すのが苦手な自分は一対一でさえ言葉につまる。

 こんな話だって、隼人さんにするべきではないのに、つい話してしまった。

 気にしていないつもりでも、山並さんの彼女のことが気になっていたのだろう。一人でいたら考えこんでしまいそうだったから、隼人さんの食事の誘いは嬉しかった。