雨上がりの虹のむこうに


 営業スマイルという武装をしていない無防備な私は、山並さんにはどう映ったのだろう。きっとマヌケだったはずだ。

 穴があったら入りたい。

「品川さんは、そのままでも十分素敵ですよ」

 思わず顔を上げてしまうと、はにかむような山並さんと目が合う。

 顔を上げたまま固まってしまい、かあっと顔が熱くなってくる。

 恥ずかしい……

 お世辞とか言わないような山並さんからの言葉だから、よりいっそう恥ずかしさが募る。

 勇人さんになら、いくら言われても普通に受け答えができるのに、山並さんにはそれが出来ない。

「軽い気持ちでからかったつもりはないんです。ただ…素直に喜んでくれる品川さんは可愛いですよ」

 言葉を絞り出す山並さんも、顔が赤くなっていた。私だけでなくて、山並さんも不慣れな状況に、なんだかおかしくなってくる。

「なんだかお互いに、こういうことに慣れてないですねぇ。でも伝えようとしてくれる気持ちが嬉しいです」