雨上がりの虹のむこうに


 私の勢いにびっくりした山並さんが、目を見開いている。

「……あ…本当にこれなら、とてもいい記念品になると思います…」

 ふっと空気を揺らすような笑いをこぼして、山並さんの緊張が和らぐ。

 さっきの発言は、自分の素の部分がでてしまっていた。いつでも条件反射のように出来る営業スマイルが、山並さんを前にすると不安定になる。

 山並さんは不確定要素だ。山並さんの発言でこんなに胸がざわざわするなんて。

「品川さんにそう言ってもらえるなら安心です。お客様のほうに許可をもらって見本を作ってみてもいいでしょうか」

「いいと思います。すぐに確認してみますね」

 パソコンの顧客データを呼び出していると、自分のパソコンを閉じた山並さんと目が合う。

 なんで目が合うんだろうと思って、それは山並さんが私を見ていたからだと気づく。そう気づいて、なんで見られていたのかと恥ずかしくなる。

 かあっと体じゅうが熱くなっていく。