振りまわされているようで、ため息が出る。
「品川さん、少しいいかな」
振り向くと、見上げるような山並さんが、やっぱり少し遠慮するように肩をすぼめて立っていた。
「私でよろしかったら、どうぞ」
条件反射で顔に営業スマイルが浮かぶ。ちょっと疲れたなと思っていても、長年培った営業スマイルは崩れることがない。
そんな私を見て、山並さんはほんのわずかだったけれど眉を寄せた。時間にしたら、瞬きする程の間だったので、気のせいかもしれないけれど、確かにそう見えた。
「実は写真を撮るだけでなく、記念に残るようなアルバムにしたらどうかと思いついたので…少し見てもらってもいいですか」
そう言って抱えていたパソコンをテーブルに置いて電源を入れた。
立ち上がった画面は、ネットでアルバムを作成できるページで、今回のお客様のデータですでに作られたものが、発注するだけになっていた。
そのデータを開いて、アルバムの内容を確認すると、注文を受けていた写真に加えて会食の写真やポイントごとにアレンジされた花、この建物のステンドグラスなど上手くまとめられていた。
「すっごくいいですね! これならお客様もきっと記念に作りたくなりますよ」



