雨上がりの虹のむこうに

「それなら、ゆうちゃんにふさわしい大人になるまで待ってて。一日でも早く迎えにいけるように頑張るから」

 持ち上げた手の甲にチュッとキスが落とされる。

「約束。それまで待ってて」

 一方的な約束だとしても、約束しないかぎり、離してはくれないだろう。

「気がかわったりしない? 」

「僕がどれだけゆうちゃんを見てきたか知らないの? 待っていてもらうのなんて、長い人生のうちのほんの数年だけだから。知ってる? ほとんどの人はね、生まれてから家族と過ごす時間よりも、結婚して夫婦で過ごす時間のほうがずっと長いんだよ」

 だから、今は我慢する。

 そう言った隼人さんの瞳はくもりなく澄んでいた。