雨上がりの虹のむこうに



 父と母を斎場に送り、これからのことを相談するためにも、一度大使館に帰ることにした。

 お線香を絶やさずにずっとついていたいけれど、そこは斎場の方もわかっているので、入り口の鍵を貸してくれた。


「戸締まりだけしっかりしてもらえば、少しくらい留守にしていただいても大丈夫です。生きている方々には、いろいろしなくてはいけないことがありますからね」

 明日は市役所で死亡届けを出して、火葬許可証を貰わなくてはいけないそうだ。そのあたりは斎場の方が慣れているのでやってもらえる。

 なにをしたらいいのかすら、わからない。再びベンツで送ってもらいながら、父や母の荷物の中に連絡を取りたかった人がいないか探してみよう。

「ゆうちゃん、僕が18になるまで待って、結婚しようよ」

 突然の隼人さんの言葉に驚いてしまう。

「学校は? お家の方をどうするの? 」

 伸ばした手が、私の手をぎゅっと握る。

「頑張って説得する。僕はゆうちゃんの家族になってあげたい」

「ダメだよ。学校もお家の人もきちんとしないと。二人でいられたらいいだけじゃダメだよ。隼人さんは祝福されて結婚しないと」

 それは私以外の誰かだとしても。