雨上がりの虹のむこうに

『優子、お父さんにそっくりな事を言うね。ボクは必要ない? 』

 父に似ていると言われたことで、顔には笑みが浮いたけれど、胸は掻きむしられるように痛んだ。

 私を見て、父と関連づけて考える人は、どれだけいるのだろう。

 もうすぐ存在すら消えてしまう父と。


「そんなことないじゃない。ミシェルも大事。隼人さんも同じように大事なの。どちらがより助けてくれたかなんて比べる気もないわ。お互いの立場からしたら勿体ないくらい助けてもらってる。私のことを心配してくれただけで、とっても嬉しいのよ」

 電話口でミシェルが詰まる。

『……それでも、心配しているだけなんて嫌だ』


「いいの。ミシェルや大使、奥様の気持ちだけでもガンバレる」

 胸の中には、言いようのない不安ばかりがわいてきていたけれど、たとえどんなことだとしても、ひとつひとつ当たるしかない。

「お父さん達を斎場に連れて行ってから、一度家に戻るわ。だからミシェルもあんまり心配しないで」

『わかった。優子、くれぐれも気をつけて』