雨上がりの虹のむこうに

『そんなの、明日でいいよ。一度帰っておいで。優子の顔が見たいってフローレンスが心配してる』

「……はい」

『優子。優子がどんなにしっかりしていて、いい子なのかはワタシが知ってる。パーティーの手配もケータリング業者をいれたから、何も問題ない。一度帰っておいで。ここは優子の家でもあるんだからね』

「……ありがとうございます」

 父と母がしたことで、迷惑を被るのは、大使でしかないのにきちんとフォローもしてくれている。

 私なんて、まだまだ何もできない。

『優子、ミシェルも心配している。代わってもいい? 』

「はい」

『優子、今どこ? すぐに行こうか? 』

 年下のミシェルの言葉に笑みが浮く。

『優子が大変な時に、パパやママが力になれなくてごめん。ボクだけでも優子の力になりたいんだ』

 大使自らが動けば、SPや秘書官も動かないといけなくなる。おいそれと個人的な事柄で動くことはできないだろう。

「大使の身柄の安全が第一です。もちろんミシェルにしても、不特定な人物の出入りがある病院などは注意が必要になるわ。ミシェルがここに来ることについて、賛成できないわ」