日誌も書き終えたので秀と合流し一緒に帰る。
その間秀は何か嬉しそうにずっとにやついていた。いいことでもあったのだろうか。
たまに人気アーティストの曲を口ずさんでいる。
「なぁ、話ってなんだよ?自慢話か?」
そうだ、話があるから一緒に帰っているのだ。といっても話がなくてもいつも一緒に帰っているが。
「なんだと思う?」
秀は小学生がイタズラを仕組んだ時のように笑って尋ねる。考えても全く検討がつかない。
「わかんねー。早く言えよ。」
あきれ口調で言った。秀は鞄の中から広告…をコピーした用紙をオレに見せた。
「じゃーーん。」
丁寧に効果音もつけて。
「それがどうかしたのか?」
「バカだなぁーお前は。参加者の募集の広告さ。」
ははぁーん?と、どや顔を決めて紙を前につき出す。
「あ、ほんとだ。サバイバルゲーム参加者募集…」
秀の両親とオレの父はサバイバルゲームを時々している。その影響でオレたちは知り合った仲だ。今じゃたまに、親父につれていってもらって参加もさせてもらっている。
「なぁそれ、なんかのスマホアプリじゃないか?」
秀ならやりかねない間違えだ。
「お前本当にバカなのか??よく見ろよ。」
2年になる前、単位が足りなくて留年しそうになったやつに『バカ』を連呼されるとよけい腹がたってくる。
「ほら、会場への案内が詳しく掲載されてあるし、銃は向こうが用意するって書いてあるだろ?」
確かに言われた通りだ。
どうやら本当のサバイバルゲーム。
「対象年齢は16歳以上だから俺らも参加できる。なぁ、一緒に応募しないか?」
秀はやる気と期待に瞳(め)を輝かせていた。
もちろん、オレもサバイバルゲームは大好きなので大きく首を縦にふった。