『そうだわ、ミラ。今度引っ越すわよ。』

「え?お引越し?どこに?」

『お隣よ。お隣の山中さんご夫婦が、息子さんたちと暮らすことになったから、近々そちらにうつられるの。空き家の方が、暮らしやすいでしょう?』

「本当に?嬉しい!ここ、狭くてすごく窮屈だったの!ねぇいついつ?いつ引越すの?」

『そうね…お父さんが帰ってきたら話してみましょうね。』

「できるだけ早くがいいな!今からもうワクワクしちゃう!」

『うふふ。そうね…。今みたいに、こそこそとしなくていいものね。おてんばのミラがいるから、いつバレるかと気が気じゃなかったわよ、ふふ♫』

「お母さんったら、ひっどーい!ねぇ、いつになったら人間たちに私たちの存在が認知されるの?人間と私たち、ただ小さいというだけで、どうしてこんな風に暮らさなきゃならないの?」

『それは…』

「私だって、人間みたいに学校って言うものにいってみたい。色々なところに行きたいし、友だちだってもっと作りたい。小人と人間が共生することは、不可能なの?」

『……。まぁ、ミラったら…。認知とか共生とかいう、難しい言葉を使ってみたかっただけでしょう?』
少し、悲しそうな目で母はミラに問いかける。

「違うよ、ただ…ただ…。…なんでもない…。」

『こんぺいとう、半分にしましょう。ね?』

「うん!」