ハクは家に入ると荷物をセリアに渡すと、机の上にある一冊の本に気付いた。

手に取るとそれはハクのよく知る本だった。

昔々に起こっていた大陸間の戦争を終わらせた竜王さまの事が書かれた本だ。

つい最近セリアにあげたんだったな。


｢なぁセリアもうこれ最後まで読んだか？｣


｢まだ途中なの。ハクは竜王さま今も存在すると思う？｣



ハクは腕を組み考え出した。



｢俺はこの話すげー大好きで、竜王さまに憧れてるし今もどこかで存在してほしいと思う。
でもな竜の姿はたまに見られてるけど、その本に書かれてるような漆黒で通常の竜より一回り大きいやつなんて見たって話しは聞かないしどうなんだろな。｣


そこまで言うと一旦話しを区切り、


｢でもやっぱ存在しててほしいな！でなその本の最後にちょっと気になる事が書いてあるんだ。竜王さまが今も存在するかどうかのヒントみたいな事がな。｣


｢そうなの！後で絶対読むね！さて、夜ご飯食べよっか。今用意するから座ってて。｣


セリアは台所に行き夜ご飯の支度を始めた。


その為セリアにはハクがポツリと言った言葉が聞こえなかった。





｢竜王さまが表れる日は近いかもな。

そんな世の中になっちまったんだ。｣