一年後、‘彼’が亡くなったという報せが耳に入った。






彼は、手の施しようがない病に侵されていた。




私は、近くに寄って来た漆黒で艶々した毛並みの子猫の頭を撫でる。





「月夜」





彼の名前を子猫にも付けた。





「にゃお」





応えるように鳴いた声は
やっぱり、甘い。





「待ってて、ね。」