目の前ですやすやと眠る彼の漆黒の髪を掬うように撫でながら、チッ。チッ。と音を立てる大きな時計を見つめる。





いつから、だろうか。



いつから、こんな余計な感情が芽生えたというのだろう。




報われる筈など、ないというのに。






「…っ。」





刻一刻と針が進む度に、時間が止まれば良いのにと思うのは。


きっと、きっと。