席替えしてから1週間が経った。


本音で喋ることが出来るようになってきた。


パシッ


いったぁ。


「おい、上野」


「いたいんですけどー。何村上?」


私は前までは村上君だったけど「村上でいいから。君付けなんかしなくていいから」
と言われたので私は村上と呼ぶことにした。


金山君にも「俺のことも呼び捨てでいいから。優馬って呼んで」と言われた。


それから喋る回数が増えたので本音で話すようになった。


「つかお前ノートに落書きしてねぇでノート書けよ」


「別に何してもいいじゃん」


「お前はばかなんだからちゃんと書いてろ」


「村上のほうがばかなんだし村上が書いたほうがいいよ」


「は?俺はバレーがんばるから勉強はいいんだし」


「真実も部活頑張るから勉強いいもん」


「意味分からんわー。お前はさっさと黙ってノートうつしてろ」


うるさいなぁ。村上は授業中よく話しかけてくれる。


私は大人しくノートを書くことにした。


ノートを書いていると隅にバカとでかでかと書いてあった。


えっだれ?


考えられるのは前の席の優衣か隣の優馬しかいなかった。


でもどう考えても男の字だった。


考えられるのは優馬しかいない。


「ねー優馬、ノートにバカって書いた?」


「あー書いたよ」


優馬はさらっと言った。


「ちょっとなんで人のノートに落書きするの」


「なんでって暇だからに決まってるじゃん」


優馬は頭が良くなくて授業中はいつもぺらぺらと誰かと喋っている。


バレー部の男子には頭のいい人があまりいなかった。


しかもみんな口がちょっと悪い。


「勉強すればいいじゃん。そんなことする暇あるなら」


「勉強なんかやらねーよ」


結局村上と優馬はノートも書かずずっと暇そうにしていた。