チャイムが鳴ると、仁維奈は名残惜しそうに保健室から出て行く







1人で歩いて病院に行く、というと
危ないから、と保健の先生が気を使ってくれて



長谷部先生が付き添ってくれることになった





「おーっす。叶愛」






だるそうな先生が入ってくる






「あ、先生!」






「大変だったな。
うっわ、たんこぶできてる
痛そ〜」





「先生、ほんとに心配してますか?」






「あたりまえじゃねえか
かわいい生徒が怪我したんだぞ?
みてわかんない?」







「いや、超どうでも良さそうですけど…」






「あーそれ多分頭打ったからだろ。そうやって見えるだけ」






イラつく目線を先生に向けると
先生はこほん、と咳払いをして続けた






「とりま、行くか?」
「カバン取ってこいよ」





「はーい」






私は先生から言われた通り保健室から出て教室に向かった






廊下はとても静か






私は考え事をしながら教室に向かう







なんであいつ、私を運んでくれたんだろう






嫌いなはずなのに頭から一ノ瀬のことが離れない






も〜っ!!!なんでこんなにあいつのことで悩まなきゃいけないの!?







もやもやする!!!






ドンっ______







「あ、ごめんなさい」





角で誰かとぶつかり顔をあげる






「なんだ〜元気そうじゃん」






そこにはニコニコと笑っている一ノ瀬が立っていた