「ねぇ〜みさとちゃん〜どこなの?そのヤラシテくれるこは?」





2人しかいないと


そう思っていた屋上に


突如響き渡ったその声。





ヤラシテ?





冷や汗が全身を伝った






「だから言ったじゃん。お遊びはここまでって。なのにベラベラ口答えするからぁ。」




ま、どのみちあんたはネズミよ。




そう耳元で言われて
私は彼女を見ると、



彼女は、少し微笑んで





「ごゆっくり❤️」




そう告げて、屋上の入り口へと歩いていく。










え?




なに...が、おこるの。






「やぁ。君がゆりちゃん?」





美里と入れ替えに私の目の前に歩み寄ってきた男の人。



あ、この人知ってる。



ちゃらくて、まともに授業を受けずに
遊び呆けてる



山野流星(やまのりゅうせい)くんだ。


両耳合わせて何十個も穴が開いていて
そこにつけたピアスがジャラジャラと音を立てる。



校則であるネクタイはなくて
かわりにシャツのボタンが全部だらしなく空いている。



茶色の髪をなびかせて、
案外サラサラなのが


曽良さんと少しかぶる。



あ..ぁ。


なんか、いちいち曽良さんを考えてしまうんだ。






「どいてください。」



「どかないよ?美里に頼まれたからね〜。」




「あ、そうですか。」




美里にたのまれたと...



それはすごくいけないことに決まってる。




"ヤラシテ"




その言葉は、きっと、
いや、ものすごく怖いこと。




...だったら






一つしか打開策はない。



そうっ!

この場から逃げるのみ!






彼の足元を見る。


ふぅん。なにその床につくまで下げたズボン。


もっとだらしなくしてあげるよ。






「ゆーりちゃん?ねぇ?ここでもいいと思うんだよね〜。正味どこでもできるし!」





その気持ち悪い声が頭上から聞こえてきた





その瞬間









「へぇ〜。そうですか。ちょっと失礼しますね。」






そう言った後か

いや同時か。



私は彼のズボンに手を当てると思いっきり下に下げて





「ちょ!?おいっ!?」





なんの柄かわけのわからないパンツを全開にした


チャラ男山野さんを尻目に


全速力で走り出す。




屋上の扉を開けて全速力で階段を駆け下り...........








「なにしてんのー。」





あ。