「行くよ?大丈夫?」



そんな彼の優しい言葉に

小さく頷いて、顔を上げた。



恥ずかしくてまだ彼の顔は見れない...。



複雑なモヤモヤとした気持ちがずっとあり続ける。



「曽良...さ」



「いいから、暑いから早くはいろ?」



繋いだ手がゆっくりと
だけど早く離れた。


少し怒ったようの見えた彼に、思考回路が停止する。



「ぇ。」



彼はスタスタと先に行く。


....なんで。

そう思った。
彼を怒らせた?

さっきあんなこと言ってくれたのは...建前?


しつこいと思った?

複雑な気持ちに不安がプラスされて
泣きそうになる。



「ごめんなさい...」


もう先の先に行く彼に向かってつぶやく。

こんなことだけど
小さなことで
さっきまでの嬉しい気持ちがなくなってしまう

自信なんてない。

せっかく繋げた手が
また、離れた。


離された。


彼が私を好きになってくれる自信なんか...


ないんじゃないかな。

そう思っておもいつづけたら負の連鎖からぬけれないきがして

私は急いで彼の後ろを追いかけて
ハンバーグ屋に入った。









「いらっしゃいませー」


そう言われて彼の姿を探す。


店に入るなりもう彼の姿はなくて恐らくもう席に着いたんだろう。





「な......んで先に座ってるんですか」



彼を見つけたのは店の奥の端の席。


綺麗な庭園が見えて光が差し込んでいる。



「ゆりが、遅いから悪い。」



さ、早く座りなよと言わんばかりに曽良さんはアイコンタクトを送る。



それさえもすぐに目をそらしてしまって、ドキドキが止まらない。



「な、何頼もうかな〜」



いけない。いけない、彼を楽しませるために来たんだから。

そう心で唱えながらメニュー表を見る。



が、


彼の手がそれをめくる私を手を邪魔する。



「先にデザート頼んだから。イチゴパフェでいいよね?」



「ぇ?」



「いいから。話したいことあったんじゃないの?その不安そうな顔辞めて。」




彼は、私の心を全て見透かしている。


じゃあ、もっと見てよ。

もっと気づいてよ...。




「マリネって誰?なんで私にその子の名前を出すの?なんで可愛いねって言うの?」



半ば喧嘩ごしにいう言葉に
彼は少し驚いたように目を丸くして



小さく笑った。