「はい、眼鏡」

と渡されたのは私のさっき落とした眼鏡だった

「ありがとう」

そう言って眼鏡をはめると、そこには見たことも無いお屋敷と、クラスメイトの(堤 功太 couta tsutsumi 16歳)だった

クラスメイトと言っても、堤とはほとんど話したことは無かった

ただ、無断に整った顔と優しい言葉に、クラスの女子の半分は堤を好きだった

私「でっ、一体何?」

そう堤にたずねると、堤が少しだけ微笑んで

堤「なぁ、俺の奴隷にならない?」

なんて事を平然と言うから、こいつは何なんだって想い、無言で帰ろうとした

堤「冗談…岬って今彼氏いる?」

笑いながらそんなことを聴かれ

私「いきなり何で?」

唐突過ぎて意味不明だった

堤「良いから、いるのかよ」

いつもとはちょっと違う堤に驚きながら、私はこたえた

私「今はいないけど…」

そうこたえる私に少し笑顔で、また左手首を捕まれ、グイっと堤の胸へと引き寄せられ…

堤「じゃぁ、今日から俺の彼女なっ」

そう耳元で呟いた

私「んなっ…」

言葉にならない声で私がこたえると

堤「取り合えず…ジャージはちょっとなっ…」

堤が私を見つめて来るもんだから、恥ずかしさでわれに返った私

私「いやっ…これはその…その前に彼女って…」

最後まで私の言葉を聞かず、堤は私の腕を掴んだまま、目の前のお屋敷へと引っ張って行く

私「いやっ…だから…ちょっと待って…ここどこ…誰のお屋敷?」

息を切らしながら、やっとその言葉が出て来た

すると、堤が私の方を見て、右手で門を指差した

堤「あれっ、気がつかなかったのかよ、ここ俺んちだぜ」

そう言うと少しだけ笑っていた

私「えっー…」

私は驚いた

だって、テニスコート何個入るかって位に広い真っ白なお屋敷

まるでおとぎ話に出てくるような家が、まさか同級生の家だなんて想ってもみなかった