「お世話になりました。」
「あら、もう少しゆっくりしていってよ。」
「そうだよ、お母さんの言う通りだよ!あっ、でも早く帰りたいか♡」
「何の話よ?」
ここはとぼけた振りをする
「服は洗って明日返すね。」
そうして
お昼すぎに胡蝶の家を出た。
道を歩いていると
目にはいったのは
1人公園で遊ぶ女の子……
自分を思い出す…
〝あの子いつも1人ね……〟
〝シングルマザーですってね?〟
〝父親は?〟
〝さぁ?〟
聞こえてくる大人たちの噂
「おまえって父さんいないんだろ?」
知らない子から掛けられる声、
「あんたって子ははやくこっちにいらっしゃい!!」
親が手を引いて連れてゆく、
物心ついた時から母と2人で暮らしていた。
贅沢とは言えないがボロアパートでも満足していた。
お母さんに聞いたことがあった
「おかあさん、なんでうちにはおとうさんがいないの?」
お母さんはいつも苦笑いをするだけだった。
きっとお母さんには辛い質問だったんだろう。
今、私の隣には大きなリムジンが止まった
でも、佳祐が乗っているものではない
嫌な予感がする……
嫌な予感だけはあたるんだよなー私、

