目を開けてみる。
指を動かしてみる。
体をゆっくり起こしてみる。
「今日も生きちゃったか。」
僕の言葉は部屋の暗闇に溶けていく。

ベッドから体を起こし、カーテンを開けると体を突き抜けるような光が差し込んできた。
洗面台に歩いていき顔を洗い、鏡を覗き込むとそこには白い肌に女顔で長い黒髪の死んだ魚のような目をした少年がいる。
客観的に言ってみたがそれは当然僕の事だ。
髪を整え、ブレザーに着替えると冷蔵庫から牛乳を取りだし一気に飲みほし、バックを取り家を出た。
「一人暮らしだとどうも朝御飯が適当になっちゃうな・・・」
月三万、1DKの二階建てのアパートの階段を降り、僕は自転車に跨がった。
1日が始まるのはとても憂鬱であった。