人気のない廊下は、しん、としていて静か。


連れ出したは良いけど、何て言おうか。


大月に怪しまれないように必死に考えていると。



「宮田くん、どうかした?」



不思議そうに首を右に傾けてくる。


それは...反則だろ。


和輝のところに送りたくなくなるから、やめてほしい。


さっさとしねーと。


意を決して口を開く。



「あのさ、和輝いるじゃん。ピッチャーの」


「うん」


「あいつが、裏口に来てほしいって言ってた」


「え、私が? 今から?」


「おー」



大月はなぜか、少し困ったような顔をしていた。