「よし、10分休憩ー!!」
監督の声がグラウンドに響く。
練習していた部員たちも皆、日陰へと移動する。
そんな中、俺はただ一人日向でバットを振り続けた。
まだまだダメだ。
こんなんじゃ、全然。
こんなんじゃ__
「宮田(みやた)くん」
ふいに後ろから声をかけられて、振り向くと。
「そんなに練習ばっかりしてたら熱中症で倒れちゃうよ?」
「ああ、でも素振りくらいしとかないとやべーからさ」
「大丈夫だよ。
休む時には休まないと」
そう言って、冷えた麦茶を差し出してくれた。
「...さんきゅ、大月(おおつき)」
大月はニコッと笑って、友達のところへ帰って行った。