大好きなんです【短編集】



あーーもう。


私は早く帰りたいんだから。


その一心で、勢い良くドアを開けた。


すると、そこに居たのは__



「げっ」



地味男こと相沢莉久。


何でこいつがここに...?



「あ...小野寺さん?」


「相沢、あんた何やってんの?」


「掃除、です」



確かに相沢はほうきを持ってる。


わざわざそんなことするなんて、さすが真面目。


変なところに感心してしまう。



「てかさ、その前髪切らないの?

それ切ったら、地味さもちょっとはマシになるっしょ」



私が何気なく言った言葉に、相沢はぴくりと反応した。


そして、ゆっくりと私を見る。