大好きなんです【短編集】



カウンターで本の番号を読み込む。


それにしても...


この男子、何でこんなに前髪長いの?


見てるこっちがうっとおしい。


そんな私の視線に気づいたらしく、地味男は顔を上げた。



「僕の顔に...何か付いてますか?」


「いや、別に付いてないけどさ」


「あ、そうですか」



ボソボソ喋るし、何か気味悪い。


さっさと手続きを済ませて、本を手渡す。


すると地味男はぺこりとお辞儀をして、図書室を去った。