大好きなんです【短編集】



手を繋ぎながら歩く帰り道。


あたしの家と大翔の家は同じ方向だから、その分長くいられる。



「あ、そーだ」


「ん?」



大翔の顔が、あたしへと向く。



「ねー大翔、今度の土曜日暇?

うちんち来なよ。見せたいものあるの」


「今度の土曜...か。

午後からで良い?」


「おっけー!」


「よし、じゃあ久しぶりに行くわ」



ちょっと恥ずかしそうな笑顔。


大翔によると、家に来るのはいつまで経っても慣れないんだって。


今までも何回か来たことあるのにね。



「あ、真子のお母さんいんのか?」


「たぶんいると思うけど...」



その瞬間、大翔の表情が微妙に固くなる。