大好きなんです【短編集】



離してもらおうと軽く身体を動かすけど、更に強く抱きしめられる。


何、どうしたの。


こんなのいつもの坂本じゃない。


そう思いながら坂本にされるがままになっていると、しばらくしてその腕が解けた。



「お嬢様...探したんですよ」


「...ええ」


「五十嵐家の皆様も使用人達も、皆心配したんですよ」


「...分かってるわ」



ああ、私って可愛くない。


何で素直に謝れないの。


心の中ではそう思ってるのに、坂本に伝えることができない。