大好きなんです【短編集】



そんな大翔に対して、あたしは即座に戦闘態勢をとる。



「現れたな、巨人め」


「巨人って言うな小人」



これがいつものやり取り。


お互い身長のことをネタにしてるし、居心地が良いんだよね。



「よし、腹減ったし早く帰ろーぜ」



そう言って差し出してくれる、大翔の大きい手。


身長差がすごいと手の大きさの差もすごいから、あたしの手は大翔の手の中にすっぽり収まってしまう。



「やっぱちっちぇーな、真子の手。

握りつぶせそう」


「やめて、冗談に聞こえない」


「ちょっと試してみるか?」


「バカ、まじであたしの手潰れるよ!」



こんなアホらしい会話が、本当に幸せで。


今更ながら、大翔が彼氏で良かったな。


恥ずかしくて口には出せないけどね。