「梓(あずさ)お嬢様」



ドアの向こうから聞こえる声。


入りなさい、と言うと静かにドアが開いた。


入ってきたのは、見慣れた黒いスーツ姿の男。



「お嬢様、旦那様からの伝言でございます」


「伝言?」


「はい。

来週からグアムへ行くぞ...とのことですが」



グアム。


グアムって言ったら、青い空に綺麗な海、白い砂浜...


リゾートにはもってこいじゃない。



「どうされますか?」


「もちろん、行くわ」


「かしこまりました」



それだけ言って、彼は一礼して部屋から出て行った。