大好きなんです【短編集】



そして、授業が始まった。



「ここはこの公式を使うから_...」



先生の心地良い声が教室に響く。


まだ若いのに、すごく分かりやすい説明。


その声に聞き惚れながら、先生の仕草や表情を目で追っていると。



「じゃあこの問題を....西峰。できる?」


「へっ...」



まさか当てられるなんて思ってなくて、変な声が出た。


先生が、私を見てる。



「西峰?」


「あ、えっと...」



どうしよう、分かんない。


黙り込んだままの私を見て、困ったように笑う先生。



「分かんない?」



首を傾げる動作にドキドキしながら、こくんと頷く。