大好きなんです【短編集】



「うわ、どうしよう」


「どしたの?」


「すげー嬉しいんだけど」



そう言って、あたしに笑いかける。


腕時計は大翔の手首にぴったり付けられている。


すごい似あってるし...


かっこ良くて何か悔しい。



「ありがとな、真子。

最高の誕生日になった」


「ほんと? 良かったぁ」



そして、ふと沈黙が。


これはちょっと...良い雰囲気なんじゃない?!


顔がニヤけそうになるのを必死でこらえて、大翔を見つめる。


すると、大翔はあたしに向かって、両手を広げてきた。



「おいでおいでー」


「馬鹿にするなーーっ」



大きな大翔の胸に飛び込む。


大きくて暖かい腕が、あたしをギューッと捕まえて離さない。