突然の出来事に最初は呆然としていた翔くんだったがまたとないチャンスだと気付いたあと、すぐにゲートのほうに向かった
やだ、やだ
翔くんが行っちゃう!!
ちゃんとした挨拶もしてないまま三か月間離れ離れになるなんて…
シクシクと泣き出したわたしにまったく動揺していない亀谷さんは、翔くんの姿が見えなくなるまでわたしを下す気がないのか、力がまったく緩まない
しかしわたしが本格的に泣いたことによってたぶんめっちゃ後ろ髪を引かれたであろう翔くんが、ゲートに向かっていた足を止め、こちらに戻ってくると、わたしの頭にポンッと手を置いた
「泣かないでくれ美咲。三か月なんてあっという間だ。それに、もし寂しくなったらいつでも連絡してくれ」
翔くんの優しい言葉に涙が更にあふれ出し、最後のハグーと手を伸ばしたものの亀谷さんに抱えられているせいで翔くんまで届かない
おのれ、どうにかしてこの男から逃れられないものかと企んでいるうちに翔くんはわたしたちに挨拶をし、そのままゲートの中へと姿を消した
「…翔くん…」
本当に行っちゃった…
「さっ、とっとと帰りますよ」
さすがにゲートの中まで入っていかないだろうと、亀谷さんがやっとわたしを解放してくれて、数分ぶりに地上に足を着けた
今すぐにでも追いかけたいが、さすがにチケットがないとゲートの向こう側にはいけない
しょんぼりと肩を落としながらわたしは渋々亀谷さんとともに設楽の屋敷に戻ったのであった

