天音輝といえば、以前は翔の妻である美咲と昔ながらの友人であると認識していたが、翔がまだ高等部にいたころに生徒会役員会で顔を合わせるたびになにかと突っかかってくる男だなと思った
しかし、つい先日の、結城の内輪揉めから生じた倒産の援助を、花菱買収という大掛りな事を起こしながらも設楽に求めるということを提案した張本人であると知ったことで、結構な要注意人物と認識を改めた
あの歳でそこまで考える込めるということはかなり頭の回転が速いはずだ
そして確実に自分より会社経営の才能を持ち合わせていると、苦手意識の半分は確実に翔自身のコンプレックスからによるものであった
だが、それよりももっと結城輝に会いたくない理由があった
「やだな、先輩。フルネームなんて堅苦しい、気軽に輝って呼んでくださいよ」
「あ、あぁ、すまない…」
「それより今日は、なんでこんなところに?何か御用時でも?」
お前こそ今、授業中だろうがと問いだたしたくなるが、何故だろう自分は彼と会話を交わすのがとても怖い
というか向かい合っているだけでも正直怖い
それは何故かというと、天音輝という男が翔のことをとてもキラキラした瞳で見てくるからである
そう、まるで恋する少女のように…って、なんというもので比喩しているんだ、恐ろしい

