というのが、数年前のまだ誰の思いも交差されていない、まだ自分たちのことで手一杯な彼らであったが、ゆっくりと時間が流れた今現在の彼らはというと…
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とある用事で久方ぶりに自らの出身校に訪れていた翔は早足で廊下を歩いていた
とりあえず用事が済んだので、色々めんどうなことになる前にとっと退散しよう
今は授業中なのだが、いつどこ誰が自分を見つけ出すのかはわからない
そうなったら当分の間はここで足止めをくらってしまう
それだけは全力で避けたい翔があと一歩踏み出せば校舎から出られるというところで、
「あ、設楽先輩」
後ろから誰かに声をかけられてしまった
聞こえない振りをしてこのまま逃げ出したい気持ちでいたが、聞き覚えのある声だったので渋々後ろを振り返ると
「やっぱり設楽先輩だ。おーい、先輩」
ものすごくキラキラした瞳で、手をこちらに振りながら、笑顔で駆けてくる人物の姿が見えた
「…天音…輝」
今ここで、一番会いたくない男であった

