あの、設楽翔が弱っているのだ!!
いっつも完璧を装っているあの男が弱っている姿など早々に見れない
追い打ちかけたりなどしたらいったいどんな顔をするのだが、激しく興味がある
この時から翔に歪んだ憧れを抱いていた輝は意気揚々と翔のもとへと駆け出した
「設楽先輩」
輝が声をかけると、先ほどまでうな垂れていた翔の背筋がピンと正された
「…なんだ、結城の…」
「はい、輝です」
輝は内心ちっと舌打ちを打ちながら、笑顔で翔に話しかけ続けた
「今日って確か、今度行われる中高合同の演芸大会の打ち合わせでしたよね」
「そう聞いているが」
「そういやさっき、設楽先輩のことをうちのクラスの前で見かけたってやつがいたんですけど、なんか用事でもあったんですか?」
あくまで日常会話レベルでさりげなーく聞くと、翔からの返事は暫くなかったが、とても鬱陶しそうな視線を向けられ
「別に何もない」
と答え、役員会会場の教室へと足を踏み入れた
…つくづくムカつく男だ
意地でも他人に弱さを見せない翔に苛立ちながらも輝は翔の後を追うように歩みだした

