なんとそこにはさっきまで、というか今もだけど、会いたくて会いたくてたまらなかった翔くんが立っていたからである
なんで、と思いながらも一か月ぶりの見た翔くんの姿に心臓が一気に加速し始める
久しぶりだから、気のせいかもしれないけど、翔くん少し瘦せた気がする…
あれからちゃんと寝ていないのかな
翔くん、頑張りすぎてしまうとこがあるから、心配だなぁ…
とかなんとか思っていると、翔くんが一瞬だけこちらを一瞥すると、一か月ぶりに会った婚約者に何も興味がないのか、すぐに廊下の向こう側へと姿を消した
「…そういや今日、中等部と高等部の合同役員会だったことすっかり忘れてたわ…」
一瞬の出来事に唖然としていたわたしは、隣から聞こえた聖美の声で我に返った
役員会…、そういや翔くん高等部で生徒会役員やってたんだっけ
だから普段なら絶対に現れるはずのない中等部の校舎にいたのか…
というか、やばいなぁ
さっき翔くんを諦める決心がやっとついたと思ったのに、たった一瞬、翔くんの姿を見ただけでまた好きっていう気持ちが溢れてきてしまった
「…やっぱ、無理かも…」
「ちょっ、さっきまでも勢い!!あんたの決心どんだけ脆いんだし!!ほらほら、翔くんのことなんてそのへんにぽいっと捨ててさ、ケーキ食べに行こうよ!ケーキ!!」
「…うん」
うな垂れる背中を押されながら、後ろ髪をめっさ引かれる思いのまま、わたしは聖美と翔くんとは反対側の廊下へと歩き出した

