これはまだわたしが翔くんと結婚する2年ぐらい前のこと




つまり、あの翔くんとキャサリーヌさんの衝撃的な場面を目の当たりし、翔くんへの恋心がパリーンと音を立てて、粉々に砕けきっていた時のこと




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「翔くんのことなんて嫌いだもん、嫌いだもん、嫌いだもん……」





「…あの、美咲さん?」





「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い…」





「もしもーし」





「好きじゃない、もう全然好きじゃないし、嫌い、嫌い…」





「……いい加減にしろ、このお馬鹿さん」





一心不乱に一人でブツブツと小声で呟いていると、わたしから漂ってくる異様なオーラに狂気を感じた聖美が真後ろから脳天目がけてチョップをかましてきた




突然襲ってきた激痛と同時に集中力が切れ、両目からドバァと滝のように涙が溢れ出てきた





「えぇぇ!?泣くほど痛かった!?ご、ごめん…」





「……なれない…」





「はぁ?」





「翔くんのこと、どうしても嫌いになれないよ…、どうしようー!!!」





「あぁ、それね…」





概ね事情を知っている聖美は呆れ顔で、わたしが落ち着くまでさっき自らチョップした頭を撫でていてくれた