目の前で父とキャシーが睨み合いを始めてから既に10分
俺はこの状況からどうやって逃げようかと考えていた
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事の始まりは今日のお昼頃
父さんに確認を取ってもらいたい資料を片手に社長室へと向かうと、扉の向こうで誰かが言い争いをしている声がしてきた
この時間帯に社長室にいるのは父さんしかいないし、もしそんな父と言い争いが出来るとしたら、それはもちろん社長秘書のキャシーしかいない
父は設楽本社内でも恐れられていて、しかも社長なので、誰も父には口応えが出来ないし、ましてあんなに威圧的な人と喧嘩が出来るとしたら相当度胸が据わっている人物だ
この社内でそれに当てはまるとしたら、あの自由奔放な社長秘書しかいないが、どうしよう
非常に部屋に入りづらくなった
なにせあの二人の言い争いに巻き込まれると碌なことがないというか、非常にめんどくさいことになる
前に一度巻き込まれて酷い目にあったし、他に巻き込まれた人々ももう二度とごめんだと愚痴をこぼしていた
この場からすぐにでも立ち去りたいのだが、早目にこの資料を確認してもらわないと困るので、俺は暫く社長室の前で二人の言い争いをしている様子を窺うことにした