「うん。」

 奏雨はそう言うと、空き教室を奈都に案内してもらい、陽樹のネクタイを右手からとった。

「~~♪~~♬~♬~~♪」

 そして、奏雨は歌い出す。

 (お願い……右手の傷を治して…!)

 奏雨はそう心の中で願い、歌を歌う。

「な…?傷が治ってる…?」

 奏雨の右手の傷が段々治っていくのを見て、陽樹が驚いたように言った。

「あぁ…。これが奏雨の能力“メロディー マニピュレイト”だ。」

「能力…?この日本にこんな不思議な能力を使う人物が居たのか…!」

「手帳をすぐに取り出すな。メモるな。」

「あ、いや…。これが僕の役目なもので、ついつい癖でやっちゃうんだよね…」

「分かっていると思うが、この事は誰にも言うなよ。」