「じゃあ、話は終わったみたいだから僕は帰らせてもらうよ」


樹森君まで、冷めたような目を私達に向けてそう呟いた。


「一人で大丈夫なのかよ。お前、菜月が声を掛けるまでガタガタ震えてたじゃねえかよ」


言い方はあれだけど、京介も樹森君を心配しているみたいだ。


「……声をかけてくれたのは嬉しかったけど、影宮さんがいないのに、キミ達といる理由がないからね。色んな話が聞けた事には感謝してるよ」


教室を出て行った樹森君は、何だか思い詰めたような表情で。


少し不安に感じた。


「なになにぃ?樹森君って、美奈ちゃんが好きなの?案外似合ってるかもしれないよね」


「何だよ、そうなのか?それならそうって言えよな、全く」


京介と真弥ちゃんは、こんな事を言っているけど……私は違うと思う。


影宮さんは、何かわかったらメッセージを送るって言ってくれたけど……樹森君はもしかすると、頭の回転が鈍い私達と一緒にいても得がないと感じたのかもしれない。


私の思い過ごしだと良いけど、あの表情からは何か、そんな意思みたいなものを感じてしまった。


そして、教室に残された私達は、この後どうするかを話し合った。