「う、うわあああああっ!智奈美っ!放せ!放せよ!」


白い顔が肩越しに覗き込んで、原田先生はパニック状態。


必死の抵抗も虚しく、ナニかに鏡の中に引きずり込まれて行く。


でもそれは、腕を掴まれている私も同じ事で。


凄まじい力に、京介と二人がかりでも引きずられてしまう。










「今度こそ私を……私だけを見て。他の子を見ないで!」










さらに力が込められる。


このままでは、私も京介も一緒に、鏡の中に……。


「お前が俺に付きまとっていただけだろうが!自分で転んで死んで!幽霊になってもまだ付きまとうのか!」


こんな時になんだけど……何となく話が見えて来た。


ナニかはずっと原田先生を求めていて、この機会を伺っていたんだ。


「少しだけ……一人で踏ん張れるか?」


一人で!?


二人ででも引きずられるのに、どうして一人で!


そうは思ったけど、このまま二人とも引っ張り込まれるなら、京介だけでも助かった方が良い。


私の耳元でそう囁いた京介に小さく頷き、身を低くして足に力を込めた。


京介の手が離れる。


と、同時に引っ張られる私の身体。


原田先生の身体が完全に鏡の中に引き込まれて、私も鏡に急接近する!